« 「ラブファイト」を見て思ったこと | トップページ | ブザー・ビート #07 »

2009年8月23日 (日)

「鉄子のDNA」を読んで

昔は鉄道趣味といえば男性のものと決まっていましたが、最近は「鉄子」と呼ばれる女性の鉄道ファンも市民権を得ているようです。

個人的な体験では、仕事の打ち合わせの時に、「私は鉄子なんですが、仙台は東京にない電車が多いので一つのアピールポイントになると思います。」という話が出たときは非常に驚きました。

この本は、そのような「鉄子」がどうして生まれたか、過去から振り返って分析をしています。

著者によれば、日本の鉄道趣味はSLブーム→ブルトレブームのあと、長い低迷が続きました。その後、「電車でGO」で壮年層の鉄道趣味が再燃し、漫画「鉄子の旅」がきっかけとなって、女性の鉄道ファンが認識されるに至ったというのが、これまでの流れのようです。

この中で、低迷期までは鉄道趣味が非常にマニアックなものだったため、コアな男性以外には受け入れられなかったというのは、細部では気になるところもありますが、かなり頷けるものがあります。

一つの例ですが、ブルトレブームの頃の「鉄道入門」みたいな本では、「鉄道の旅は特急よりも普通列車の方が楽しい」とか書いてあって、個人的にはかなり違和感がありました。普通列車の旅というのは、長時間乗車をあまり考えていない設備で一日中我慢しなければ行けないので、一種の苦行です。こういう旅行が一般化しなかったのはある意味当然のような気がします。

あと、低迷の原因として、このようなことから、バブル期に「鉄道趣味は女性に人気がない」ということで、多くの人が鉄道から離れ、車に走ってしまった、といった事が書いてありました。何となくわかるような気がします(笑)。

では、なぜ鉄道趣味が復権し、「鉄子」が生まれたのかですが、著者は女性に鉄道へのアレルギーが薄れたからといったことを言っていますが、なんとなく釈然としません。ただ、もともと女性は旅行が好きで、鉄道を旅行手段とする機会が増えてきたことにも触れています。

個人的には、女性が鉄道に親しむきっかけとなったのは、国鉄民営化以降、列車の設備、スピードといった快適性が大きく向上したことがあるように思います。

普通列車でさえも、京阪神圏などかつての特急列車に劣らぬ「新快速」が走り回っていますし、とかくサービスが批判されがちな首都圏でも、車内は綺麗で空調も快適な車両がどんどん増えています。「青春18きっぷ」でもそれなりに快適な旅行ができるようになりました。(場所を選べばですが。)単なる移動手段としてではなく、鉄道に乗ること自体が旅行の目的になる人が増えているのではないでしょうか。

女性ファンの傾向についても著者は述べています。著者によると、鉄道趣味は大きくリアル系(実際に列車に乗ったり、写真を撮ったり)とバーチャル系(模型を集めたり、ダイヤを分析したり)に分けられますが、女性ファンはほとんどリアル系に分類されるそうです。確かに、模型店に行って鉄道模型を見ている女性はほとんど見かけませんし、中々鋭い分析だと思いました。

ここまで書いてくると、この本の評価ができそうです。感想なのですが、細かい点で気になるところもありますが、女性の鉄道ファンが増えてきた原因と、その傾向について的確に分析されていると思いました。女性を鉄道旅行に誘おうと思っている男性は読んでおいて損はないでしょう(笑)。まあ、個人的には「鉄道だけ」を旅行の目的としないで、他の目的と絡めて鉄道も楽しむといった点に注意することが大事かな、と思いますが。

せっかく増えてきた女性の鉄道ファン「鉄子」を取り込み、鉄道趣味を盛り上げていくためには、鉄道の旅自体が旅行の目的になるように、今後も「カシオペア」のような設備の充実した快適な列車が増えていくことが必要なのではないか、と思います。そういった努力を続けることが「鉄子」だけでなく、年金生活をエンジョイしている人なども鉄道の魅力に取り込んでいくことに繋がるような気がします。

|

« 「ラブファイト」を見て思ったこと | トップページ | ブザー・ビート #07 »

鉄道」カテゴリの記事

コメント

鉄子と鉄ちゃんは天文ファンでいうところの観望派と撮影派以上の隔たりがあると思うなあ。多分従来の鉄マニアと鉄子が熱く語り合うことは無いでしょう。鉄を舞台にして入るけれども求めるものが違うんだからしょうがない。

それは兎も角、先週末吾妻連峰の登山に行った際に久しぶりに福島米沢間の旧スイッチバック連発区間に乗りました。あっという間に通過してしまい、あっち行ったりこっち行ったりうろうろしていた時代が懐かしかったです。しかし板谷とか本線上の駅のホームの勾配のすごさときたら笑ってしまいました。手抜き駅もいいところですね。昔の汽車なら確かにスイッチバックがないと暴走事故多発してしまいましたね。

投稿: ぶうたろう | 2009年8月25日 (火) 03時50分

未明のコメントありがとう。(仕事?)

鉄子と鉄ちゃんの隔たりは同感!現にやっている人には申し訳ないけど、「音鉄」とか、さすがにそこまで極めようと思わないもん。まあ、それだけ鉄道趣味が幅広いということだけどね。

あと、電車に乗って登山とは感心ですね。私なんか専ら週末はクーパーSに頼り切りです。今週末は久々に蔵王に行ったけど、刈田峠から吾妻連峰がとても綺麗に見えてました。あと、スイッチバックもすっかり減ったけど、電車は坂道発進が容易なので、仕方ないんでしょうね。

投稿: かのーぷす | 2009年8月25日 (火) 22時41分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/140658/46007634

この記事へのトラックバック一覧です: 「鉄子のDNA」を読んで:

« 「ラブファイト」を見て思ったこと | トップページ | ブザー・ビート #07 »