天文

2015年1月25日 (日)

低感度一発撮りvs高感度加算平均(ただしそれなりの高感度版)

2015年最初の記事は、天体写真の感度別での撮影結果についてです。

「低感度一発撮りvs高感度加算平均」については、天文ガイド2014年1月号で結構詳しく特集していて、ノイズ、微光星の写り共に高感度加算平均の方が有利といったニュアンスの結果となっています。

しかしながら、この特集では、高感度といってもISO1600です。最近の機種だと最高感度25600とか当たり前なので、もう少し高感度でテストしてほしかったのが正直な印象です。うちのK-5Ⅱsでも最高感度は51200だし、α7Sに至っては、最高感度が409600もあるし。

1月10日にラブジョイ彗星(C/2014Q2)を撮りに行ったのですが、この際は月が21時過ぎには上がってきてしまうので、暗夜が3時間ほどと、あれこれ撮るには中途半端な時間しかありませんでした。そこで、いい機会とばかり、ISO3200,6400,12800の3段階で試してみることにしました。

もっと高感度で試してもいいのですが、K-5Ⅱsの場合、ISO25600以上だと印象として細部描写が目に見えて劣化するので、12800を上限にしました。

レンズはタムロン70-200mmF2.8(A001)絞り開放。撮影地は神割崎です。
すべてQHY5IL-IIMでオートガイドしています。ISO12800とかの場合、ノータッチでも問題なさそうですが。

まずはISO3200です。露出は2分。2枚加算平均しています。
15011032001

次はISO6400です。露出は1分。4枚加算平均です。
15011064002

最後はISO12800。露出は30秒。8枚加算平均です。
150110128003

コンポジットはYimgで行い、Lightroomで同期を取って全く同じ画像処理をしています。そういえば、ラブジョイ彗星って星ナビだと「ラヴジョイ彗星」になっていますが、どちらが正しいのでしょうか(笑)。

感想ですが、尾の描写とか、ノイズ感とかどれもあまり差がないよな、というのが正直なところです。

これなら彗星に関しては感度を上げてコンポジットした方がガイドずれも少ないし、1枚当たりの彗星の動きも抑えられるし、いろいろ有利な感じもします。まあ、露光量からいえばISO12800の場合、3200の4倍かけている計算にはなるわけですが。

ちなみに、1枚撮り同士で比較すると、細部描写、ノイズ共に見事に3200>6400>12800といった感じでした。まあ当然かもしれません。

というわけで、感度を上げてみると、今回に関しては、低感度一発撮り=高感度加算平均といった結論になりました。(厳密には低感度もコンポジットしちゃったな。)

そういえば、ラブジョイ彗星って星ナビだと「ラヴジョイ彗星」になっていますが、どちらが正しいのでしょうか(笑)。

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2014年11月16日 (日)

オートガイダーのテスト

導入を検討していたオートガイダーですが、友人のmatchさんから、「QHY5L-Ⅱ」をお借りすることができました。

これまで導入をためらっていたのは、「パソコンをシステムに加えるのが大変そう」とか、「システムが赤道儀に負担になりそう」とかいろいろあったわけですが、パソコンについては前に買っていた「Ferrari One」があるし、カメラ自体は小型軽量というわけで、GPDでもなんとかなるかなという目途が立ったので、お借りすることにしました。というか、「QHY5L-Ⅱ」はフィルムケース位の大きさと、本当に小さいです。

導入にあたってまず問題になったのが、適当なガイド鏡がないという点だったのですが、最近出番の少ないEF200mmF2.8Lを活用することにし、カメラとの間はKIPON社のCマウントとの変換アダプターで対応することにしました。

Dsc035491

写真上がレンズ、下の銀色の物体がカメラ、右側がアダプターです。アダプターを入手してみると、補正レンズとか何も入っていないので、EFレンズの光学系を贅沢にもそのまま生かすことができそうです。本当は少し勿体ないのですが(苦笑)。

Dsc035521

レンズに組み込んでみた結果です。なんか、宇宙ステーションに宇宙船がドッキングしたみたいな感じです(笑)。レンズとアダプターとの間にもガタはなく、しっかりと取り付けできました。注意点としては、アダプターを外すときは写真にも写っている銀色のレバーを押すのではなく、引き下げて行います。自分は外し方が分からずに少々往生しました。ご参考までに。

赤道儀との取り付けはレンズの台座をそのまま生かせるので、マルチプレートに直付けすれば強度的にもまあ大丈夫かな、といったところです。

というわけで、今週末(15日夜)に早速テストに行ってきました。観測地はGPVで見て、県内で一番晴れそうだった神割崎です。

20時過ぎに到着してみると、一応晴れていましたが、あちこちに雲がある状況。機材のセットを終えたらべた曇りになってしまいましたが、23時過ぎにいったん晴れ間に恵まれ、なんとかテストをすることができました。

Imgp23171

BORG100ED+0.78倍レデューサー(焦点距離500mm)で5分ガイドしたM42です。ISOは3200、特に画像処理はしてません。等倍にすると、ほんの少し星像が楕円になっているような気もしますが、初めてとしてはまあ上出来かなといった感じです。

実はシステム上は、GPDは比較的バックラッシュが大きく、しっかり反応するだろうか、とか、Synscanがオートガイドを受け付けるだろうか、とか、非力なパソコンなので、処理能力を超えてるんじゃないだろうか、とか、焦点距離200mmだと視野が狭くて、ガイド星が入らないのではないか、とかいろいろ気になる点がありました。

もっとも、同封されていた「天文ハウスTOMITA」さんのマニュアル通りにセットして、とりあえずは問題ありませんでした。ガイド星も視野内に候補となる星がたくさんあって、心配は杞憂におわりましたし、キャリブレーションとかもパソコン側のソフト「PHD Guiding」に任せて、オートガイドが始まるとSynscanも自動的にオートガイドのモードに変わりました。PHD Guidingは優れもののソフトですね。

もっとも、コード類の取り回しとか、パソコンの置き方(結構撮影中もディスプレイがまぶしいので、遮光等の対応が必要かもしれません。)とか、実際にテストしてみないとわからない点がいろいろあるので、ぶっつけ本番は厳しそうです。

あと、10分ガイドも試してみたのですが、赤緯方向に大きく動いた形跡がありました。どうも鏡筒側のガタだと思うのですが、ソフトの問題かもしれません。このあたりは引き続いてネガをつぶしていく必要がありそうです。

というわけで、テスト結果は上々でした。機材を貸してくださったmatchさんにはあらためて感謝申し上げます。

ひとつ問題は、機材がどんどん増えてきて、MR2の積載能力だとだんだん厳しくなってきたことです。助手席は鏡筒やらカメラやら防寒着やらの置き場になっていますが、そろそろ限界かもしれません。もう20年選手だし、次期愛車を考えようかな。

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2014年11月 3日 (月)

ぎょしゃ座、ふたご座の星雲星団

10月25日の夜も蔵王で撮影していました。もう冬季閉鎖直前というわけで、夜間は賽の磧で通行止めになっていたため、観望会をしていた東北大学の天文同好会をはじめ、キャンプをする人とか結構にぎやかでした。

今回も、タムロン70-200mmF2.8(A001)を活用しての撮影です。画質とガイドの安定性のバランスを取って、ISO6400でガイドずれを起こさないぎりぎりのバランスを考えて選択しました。

カメラはいつものK-5Ⅱsです。最近安さに磨きがかかって、ヨドバシカメラでは実質5万円台に突入です。無茶苦茶お買い得な感じもします。

今回は16枚コンポジットを試してみたのですが、やはり8枚の時と比べるとバックのノイズも細部の描写も相当に改善されます。よりハイコントラストの画像処理にも耐えられるので、今後は16枚をメインにしようと思いました。

(共通データ)
レンズ:200mm相当(絞り開放)
GPD赤道儀で電動追尾(ノータッチガイド)
露出:60秒×16枚コンポジット
YIMGでダーク、フラット補正

まずはぎょしゃ座中心部のM36,38,IC405,410です。ほかにもいろいろ写っています。

14102551

次はふたご座のM35とモンキー星雲、くらげ星雲です。

14102651

この構図は星ナビ2014年2月号のビクセンVSD100F3.8の広告の画像をパクった(笑)のですが、右の青いM35、左に赤いモンキー星雲、上にくらげ星雲と、なかなか華やかでいいと思います。流石プロの構図は一味違うなと思いました。

本来ですと、絞りF2.8、ISO6400なので、露出時間は大体40秒位が適正なのではないかと思うのですが、少し長めに取っています。

元画像のヒストグラム表示を見ると、真ん中少し左側に山の中心があるので、もう少し露出かけられそうですが、ガイドずれのリスクを考えて、60秒に押えました。

この二つの星座は比較的北天の星座なのが幸いしてか、等倍で見てもガイドずれしていませんでしたが、オリオン座あたりだと下手すると露出40秒でもガイドずれを起こすので、なかなか難しいところです。

この領域はどちらも初めての撮影です。写してみての感想ですが、オリオン座に負けず劣らず魅力的な天体が揃っていて、写して楽しい領域でした。

ふたご座の方は写り具合も結構いい感じですが、ぎょしゃ座の方はもう少し赤い散光星雲が写ってもいいかな、という感じもします。まあK-5Ⅱsが無改造機ということを考えるとよく写っているともいえるかもしれません。

あと、A001の特性か、星像に結構青いにじみが出ていて、なかなか華やかです(笑)。星ナビのVSD100F3.8の画像と比べると、やはり星ナビの方は、星像ににじみもゆがみも少なく安定しています。流石です。A001は、少し絞り込むと星像が改善されるのでしょうか?試してみたい気もします。

この後、オリオン座が上がってくるのを横目に帰りました。オリオンは今後の課題です。

帰り道のエコーライン中腹ではドリフトする人たちが結構いました。自分の場合、MR2には機材満載だし、彼らの走る場所(滝見台の少し上から峩々温泉入口までに限られています。それなりに気を使っているんだとは思います。)ではクラクションを鳴らしながら慎重に帰ることにしています。車も機材も壊したくないし。

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2014年10月26日 (日)

仙台平での撮影(10月18日)

この日はGPVでは北から雲が動いてきて、宮城県に夜半から雲がかかるという予報になっていて、蔵王も神割崎も室根山も使いづらそうでした。

そこで、前から気になっていた仙台平に行ってみることにしました。

仙台平は、福島県田村市にある、あぶくま洞の近くの高原で、近くには星の村天文台もあり、天体観測に適した場所とされています。

仙台からの距離はおよそ150km。車で大体2時間程度かかります。室根山より少し遠いですが、すぐ近くの磐越道小野インターまで(カーナビだと一つ手前の船引三春インターを出口に指定されますが、必ずしも道の良くない一般道を走る距離が長くなるので、小野インターの方がいいと思います。)高速が使えるので、行程は若干楽です。ただ、最後の山道は舗装されていますが狭いので、ちょっと注意が必要です。

観測場所ですが、山頂に展望台と車が10台ほど停まれそうな駐車場があります。ただ、トイレがないのでファミリー向けの観測地としては微妙なところもあります。

駐車場の周りには高い木もなく、視界は開けています。照明もないので、写真撮影だけでなく、流星観測などにも向いていそうです。標高も870mほどと、蔵王ほどではありませんが意外に稼げますので、透明度という点でもある程度は期待できるとおもいます。

さて、肝心の空の状態ですが、悪いところから。

ここは周りに大きな町はないと思っていたのですが、意外に南と西が明るいです。蔵王と比較しても明るいと思います。

地図をよく見ると、結構近くを磐越東線が走っていて、それなりの市街地が続いているのが原因だと思います。特に、真南の眼下すぐそばの滝根の市街地の街灯がかなり明るいのには驚きました。あと、西に関しては郡山市の影響も大きそうです。

14101851

カメラ:PENTAX K-5Ⅱs
GPD赤道儀で電動追尾(ノータッチガイド)
レンズ:タムロン70-200mmF2.8(135mm相当、絞り開放)

撮影日時:10月18日22時27分
露出:45秒×16枚コンポジット


この画像はNGC253の南中に合わせて、くじら座、ちょうこくしつ座の星雲星団を撮影したものですが、明らかに下(南)が明るいです。この時間のNGC253の高度がおよそ27度なので、30度位まではかなり厳しいところです。
(余談ですが、この画像はISO6400で撮影して、16枚コンポジットしていますが、星雲の細部が8枚コンポジットよりもかなり明確に表現されるのに驚きました。)

この西と南の灯りが影響してか、天頂付近の空の暗さは室根山の方が若干上回っているかな、という印象です。もちろん、空の状態にもよりますけど。

次に、優れている点です。

東側は阿武隈高地が広がっていて、ほとんど市街地がないせいか、相当暗いです。阿武隈高地の最高峰、大滝根山から続く稜線が見渡せ、稜線上に風力発電の警戒用(?)のフラッシュライトが頻繁に点滅しますが、ほとんど影響はないと思います。特に、夜半過ぎに昇ってくる天体を撮影する場合は、相当に好結果が期待できると思いました。

というわけで、交通の便も意外にいいし、結構使える観測地という印象でした。ただ、仙台から高速料金だけで往復5,000円と、結構お財布に厳しいので、そのあたりをどう考えるかですね。

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2014年9月23日 (火)

蔵王での撮影(9月20日)

GPDに導入した、Synscan On Gpですが、これまで何度もPECトレーニングをしたのですが、結果が思わしくありません。PECモードより普通の恒星時モードの方が星が流れない有様です。どうも、PEC補正と実際のピリオディックエラーが上手く合っていない感じがします。

というわけで、PECをいったん諦めて、ISO12800での撮影を行ってきました。場所はいつもの蔵王賽の磧ですが、他に観測者もなく、ちょっと淋しかったです。あと無茶苦茶寒かった!

まずはすばるです。

カメラ:PENTAX K-5Ⅱs
撮像鏡筒:BORG100ED+笠井0.6倍レデューサー(384mmF3.8)
GPD赤道儀で電動追尾(ノータッチガイド)

140921m4541
撮影日時:9月20日23時46分
露出:60秒×12枚コンポジット

さすがに12枚もコンポジットすると、ISO12800とはいえ、だいぶ画像の荒れは目立たなくなります。もう少し青い反射星雲が写るといいのですが。

ちなみに、今回からYIMGでダーク補正とフラット補正を行っています。

ダーク補正については、撮影前に、望遠鏡に蓋をして実際の撮影時と同じ時間だけ露出をかけた画像を何枚か撮って、YIMGでの処理時に「ダークファイル設定」をするだけです。こっちはどうも効果がよく分かりません。自分の場合、露出時間が短いので、あまりダークノイズも出ていないような気もするし。

フラット補正については、こんな手順です。
①同じ光学系で青空の画像を撮る(周辺減光が出るようにほどほどの明るさで撮ります。感度は撮影時とそろえなくても良さそうです。自分の場合、ISO160で撮ってました。)。
②YIMGの「シャープ/スムーズ処理」で平滑化する。
③白黒化する。
コンポジットを終えた天体画像にYIMGの「バックグランド補正-バックグランド補正(画像データ)」で、さっきの前処理を終えた画像を乗算補正する。

以下に処理の有無による違いを載せておきます。対象はM33で、光学系はさっきのすばると共通です。

共通
撮影日時:9月20日23時46分
露出:45秒×8枚コンポジット

こちらがフラット補正を行わない画像です。
140920m3331

こちらが処理を行った画像です。
140920m3342

明らかに四隅の周辺減光が少なくなっています。完全に補正できたわけではないのですが、お手軽な割に結構効果があるな、と思いました。

それにしても、フリーソフトなのに一通りの画像処理ができるYIMG、恐るべしです。

他に撮影した画像も掲載します。
以下は、レデューサーを0.78倍に換装し、焦点距離500mm F5で撮影しています。

SYNSCANを駆使して、自動導入でどんどん入るので、効率はとても良くなりました。スリースターアライメントだと、対象が大体視野内に入っているので、構図の微調整を行うだけでいいので、とても楽です。

NGC253
140921ngc25331

撮影日時:9月21日0時42分
露出:45秒×8枚コンポジット

NGC6946,6939
140921ngc6946312

撮影日時:9月21日1時17分
露出:45秒×8枚コンポジット


NGC6946の方は、宇宙博2014でやたら華やかな画像が展示されていたので、自分でも写してみましたが、雲泥の差のある画像になってしまいました。焦点距離が最低でも1,500mmは必要そうです。

NGC253の方は、まずまず満足していますが、両方とも、等倍でチェックしてみると、やはり少しガイドずれを起こしており、ノータッチガイドの限界を感じます。やはり、もう少し露出をかけたいのが正直なところです。オートガイダーの導入を考えた方が良さそうです。

ちなみに、9月下旬ということで、もう2時位になるとオリオン座の天体が撮れるようになります。こうなると、どうしてもM42とかに目が行ってしまいます(苦笑)。

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2014年7月27日 (日)

PECトレーニング

ソニーのα7Sですが、天体写真も徐々にアップされてきました。印象としてはコンポジットすればISO25600あたりも使えそうで、ちょっとうらやましいです。

まあお金もないので、しばらくはK-5Ⅱsで頑張ります。もしかするとオートガイダー入れたほうがコストパフォーマンス高いかもしれないし。

それはともかく、PECトレーニングの続きです。宮城県も今週末は久々に晴れたので、金曜の夜に蔵王でテストです。

今回はファインダーをちゃんと持って行ったので、「ツースターアライメント」も無事にクリアです。

で、いよいよPECトレーニングですが、結論から言うと上手くいきませんでした。このためにセレストロンのガイドアイピース12.5mmとビクセンの2倍バローレンズを用意したのですが、BORG100EDと組み合わせて倍率150倍程度では足りないようで、レンズを覗いていてもピリオディックエラーがよく分かりません。

その後、M27を試写したところ、ただの恒星時追尾の方がPEC補正モードよりもガイドエラーが少ないという結果に終わりました。結果はアップしません(苦笑)。

いろいろと考えてみました。

セレストロンのガイドアイピースの場合、視野に十字線が二重に入っていて、その中心の枠に入れれば正確な追尾ができるという理屈なのですが、枠が大きすぎます。多分、この枠に入れただけでは追尾エラーは出るだろうなと思いました。

対策として、バローレンズの倍率を上げるというのも考えたのですが、その前に、昔使っていたビクセンのガイドアダプターだとどうだろうと思い、ちょっとテストしてみることにしました。

ビクセンのガイドアダプター、実はGA-4を昔持っていたのですが、引越しのごたごたなどで紛失してしまいました(苦笑)。しかし、後輩たちの観測所のGA-3をお借りすることにし、土曜の夜は安達行きです。

この日は夜に入っても暑いし、虫は多いしで本当に大変でした。虫除けをスプレーする横で耳のそばでは蚊の飛んでいる音がするというのはさすがに初めてでした(笑)。

透明度も悪いので、撮影は断念です。

機材はBORGではなく、昔使っていた口径6センチF7のガイド鏡を使いました。「ワンスターアライメント」でアルタイルを導入して、すぐにアンタレスでテスト開始です。余談ですが、PECトレーニングには天の赤道付近の星を使った方がいいそうですので、テスト星もアルタイルの方が良かったかもしれません。

Or7mmをセットしてみると、今回はちゃんと星の動きが分かります。第一円からはみ出さないように注意して、10分間のトレーニングを2回ほどやりました。これで追尾精度が上がるといいのですが。

ちなみに、Synscan On Gpにセットされてきたステッピングモーターの精度がビクセン純正より悪かったらどうしようと、ちょっと気にしていたのですが、PECトレーニングの際に星の動きを見ていた感じでは、特に問題はなさそうです。GPD自体の追尾精度自体も、昔ガイド製を見ながら長時間ガイドをしていた頃と特に差はない感じはしました。

というわけで、一応トレーニングを行うことができました。ただ、BORG100EDの方が焦点距離が長いし、赤道儀のバランスももう少し上手にとると、よりPECトレーニングの精度をあげることができそうです。

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2014年7月 6日 (日)

Synscan On Gpのテスト

新機材のSynScan On Gpですが、これまで二回テストしてみました。

初回は自動導入ってどんな感じ?っていうのを試そうと思い、近所の河原で満月下でのテストです。

SynScan On Gpの場合、最初に目標に正確に向けられているか調整するアライメントの作業が不可欠です。このために、BORG100ED(焦点距離640mm)に手持ちのPL17mmアイピースを組み合わせて使いました。

初回は最初晴れていたのですが、機材を組み立てている段階でどんどん曇ってきて、月と木星とアンタレスしか見えない状況(笑)。

そこでやむなくアンタレスを対象に「ワンスターアライメント」を試してみましたが、最初の機械による導入の段階で一応視野の中に入りました。そこで視野の真ん中にコントローラーで導入してアライメント完了です。

このあと、月と木星も自動でちゃんと導入できて、初回としては大満足です。

次は昨夜(7月5日夜)、蔵王に出撃してのテストです。目的はPECトレーニングです。本当はもう少し近場で済ませたいのですが、この時期は「蔵王だけ晴れる」ってパターンが多いので仕方ありません(苦笑)。

幸い賽の磧の少し上で雲海の上に出たのですが、山頂方向には雲が見えたので大黒天でテスト開始です。

今回は、「ツースターアライメント」を使おうとしたのですが、最初の導入星、アークツールスが望遠鏡の視野に入りません。

その後、ベガに導入星を変えて、あちこちモーターを動かして探したら結構ずれています。

なんとかベガとアンタレスを使って「ツースターアライメント」を完了して、今度はアルタイルを使って極軸調整をしようとしたら、アルタイルが入りません。

ここですっかりやる気がなくなって、あえなく撤収です。

失敗の原因は、ファインダーを持っていかなかったことに尽きます。初回の結果が良かったので自動導入を過信しすぎました。というか、使った機材の視野はファインダーと比較すると無茶苦茶狭いし、勝手に参考にしているケンコーのSynScanのマニュアル(HPでダウンロードできます。)でも、まずファインダーで確認してから接眼レンズの中央に入れると書いているので、次回からはファインダー持って行こうと思います。

ちなみに、導入できなかった原因として、極軸望遠鏡の光軸ずれも疑っていたのですが、翌日確認したところ、ほぼ合っていました。私のGPDは10年以上前のモデルなのですが、意外に作りはしっかりしているなと改めて感心しました。マニュアル通り微調整を加えたので、もう少し精度が上げられると思います。

というわけで、ちょっと残念な結果でしたが、いろいろ有益なテストになったと思います。

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2014年6月 7日 (土)

SynScan On GPの取り付け

GPD赤道儀の場合、現在はビクセン純正の自動導入装置は販売されていませんが、数あるコピー商品を逆利用して、結構リーズナブルに自動導入装置を取り付けることが出来ます。

というわけで、SynScan On GPを「星見屋」さんから購入し、今日取り付けを行いました。

今回購入したのは、GP用モーターカバーがセットになったもので、お値段は送料とか全部入れて55,000円弱です。

取り付けですが、基本的にはボルトオンです。ただ、SynScan On GPのモーター付属のギアが、赤道儀付属の平ギアと歯数が合いませんので、赤道儀側の平ギアも交換する必要があります。

交換用の平ギアもSynScan On GPに付属してきますが、結構穴が小さくて、そのままだと赤道儀側のギアの軸に上手く入らないので、注意が必要です。結構微妙な差なので、タミヤのコンパウンドで軸を磨いたら、なんとか入りました。

というわけで、ボルトオンとはいえ、ビクセン純正部品のようにすんなり交換というわけには行かないようなので、上手くいかない場合には現物合わせでなんとかする必要があると思います。

商品の説明文も、GP用モーターカバーの交換についての注意事項については同梱されていますが、肝心の機材取り付け全般については付属されていません。

というわけで、ある程度赤道儀の構造について理解している人向けの商品だと思います。なお、必要な工具についてはしっかり入っているし、予備のネジ等も揃っているので、かなり良心的な商品だと思いました。

Img_28791
取り付け後の全体写真です。純正の場合、コントローラーから赤緯、赤経モーターに直接配線が伸びていたので、配線がごちゃごちゃしていたのですが、SynScan On GPの場合、赤緯モーターへの配線が赤経モーターを経由しているので、とても配線がスッキリしていると思います。トラブルも減りそうです。

ちなみに、本格セッティングはこれからですが、少しモーターを動かしてみたら、結構高速でちゃんと動いて一安心です。音は結構高周波ですが、不快な音ではありませんし、それほどうるさくもないと思います。

なお、今回、SynScan On GPを入れた理由ですが、どちらかというとPECを入れたいというのが大きいです。

系外星雲をうちのBORG100ED+0.78倍レデューサーで撮影する場合、画質の面からはISO6400で最低2分は露出したいし、欲を言えばISO3200に落として、最大5分程度ガイドできればいいと思っているのですが、今のシステムだと少々厳しいです。ただ、この位の時間だとオートガイドを入れるのも大げさかな、というのもあり、まずはPECを試してみようと思っています。

もちろんオートガイドも考えたのですが、現在のGPDのコントローラーはDD-1で、オートガイド端子がありません。現行品のDD-3にはオートガイド端子がありますが、コントローラーだけでも15,000円ほどします。それだったら、いっそもう少しお金を出して、オートガイド端子だけでなく自動導入+PECも付属しているSynScan On GPを取り付けてしまおう、ということにしました。

というわけで、無事取り付けもできたし、晴れ間が待ち遠しいです。でも仙台は梅雨入りしたばかり、次に晴れるのはいつでしょう?


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2014年6月 1日 (日)

蔵王での撮影(5月31日)

今週末も撮影です。今年初めての蔵王です。

金曜の夜の出撃も考えたのですが、仕事の後だと体力的にきついのと、どうも透明度が悪そうだったので、そのあたりを行かない理由にして(笑)、土曜日のみの出撃となりました。

今回は、賽の磧駐車場での撮影です。ドブソニアンでの観望とか、自分と同じK-5Ⅱsでの撮影とか、何人か観測されている方がいました。同好の人がいると、なんとなく心強いです。

ここはエコーラインのすぐそばなので、車のライトが影響しがちなのが欠点です。(ただ、長焦点での撮影の場合は、意外に影響しません。)

蔵王の場合、刈田岳の駐車場や刈田峠駐車場も同じ課題があります。大黒天とか澄川スキー場駐車場とかなら県道から少し離れるので影響が少ないのですが、今回はどちらも入れませんでした。

あと、刈田岳の駐車場などは標高が高いだけあって、結構ガスをかぶったり、天気が安定しないというデメリットもあります。

22時30分ごろに着いてみると、風が意外に強かったのですが、撮影に差し支えるほどではありません。かえって、結露の心配がなくてありがたいくらいです。

この夜は、12時30分から一時間位薄雲がかかったのですが、また回復してといった状況でした。GPVの予報より2時間位遅れて雲がやってきた印象です。

というわけで、今回はアンタレス付近からスタート。機材は前回と全く一緒です。

カメラ:PENTAX K-5Ⅱs
レンズ:タムロン70-200mmF2.8(A001) 絞り開放
GPD赤道儀で電動追尾(ノータッチガイド)

1405311_2

撮影日時:5月31日23時39分
露出:30秒×8枚コンポジット
ISO:12800

次が、おなじみ北アメリカ星雲
1405311_3
撮影日時:5月31日23時39分
露出:30秒×8枚コンポジット
ISO:12800

特に北アメリカ星雲に関しては、前回の神割崎のときとはまるで写りが違うので正直驚きました。神割崎は標高20mくらい、それに対して賽の磧は1200m位という標高差による透明度の違いが聞いているのかもしれません。これ位写るとやはりK-5Ⅱsを買って良かったなと思います。

ちなみに、今回、カメラの設定を間違って、全てRAWでなくJPEG画像で撮ってしまったのですが、自分の場合、撮って出しの画像をまずYIMGでコンポジットして、TIF画像に変換してからLightroomで仕上げるというやり方をしているので、意外に影響がありませんでした。まあ、細部の描写とかで細かな影響はありそうですが。

あと、今回は、K-5Ⅱsを買ったときのコンセプトに立ち返って、ISO12800を基本にしています。

前にも少し書いたのですが、解像度とかノイズの面では、本当はもう少し低い感度を使った方がいいのかと思っているのですが、実際に撮影してみると、ISO3200と12800の画質の差を意外に感じないのと、露出不足の画像だと画像処理の過程で結局画質が劣化してしまうので、まず限られた時間の中で露出を最大限かけた方がいいのかな、と思い直したのがその理由です。

その結果ですが、画像処理で無理をそれほどかけなくてもいいので、以前より見栄えのする画像になったという印象があります。これであれば、当面はISO12800を基本にして良さそうです。

特に、アンタレス付近については、低空で福島市の光害の影響もある中で、結構色彩豊かな画像が撮れたな、と個人的には満足です。まあ、結構彩度とかいじりまくったのですが(笑)。

次は、BORG100ED+笠井トレーディングの0.6倍レデューサーでの撮影です。ビクセンVSD100F3.8への挑戦です(笑)。対象は網状星雲です。
1406011
日時:6月1日1時36分
露出:50秒×8枚コンポジット
ISO:12800
(露出は1枚当たりあと5秒位かけても良かったかもしれません。)

この画像だと良く分からないところはありますが、周辺の星像は結構盛大にコマ収差が出ています。つまり、こういうメインの被写体が周辺にある場合には全く向かないです(笑)。やはりあちらは高いだけのことはあります。あと、露出が1分近くになるとやはり追尾が怪しい感じです。撮影中に赤道儀の三脚に足がちょっとぶつかったので極軸がずれたかもしれません。

ただ、大伸ばしとかしなければ結構見られる画像は撮れそうで、個人的には満足です。なお、北アメリカ星雲でもそうですが、K-5Ⅱsの場合、赤い星雲が紫系に写る傾向があるような気がします。画像処理の癖とかもあるのかな?

というわけで、危惧していた透明度もそれほど影響なく、南天の撮影にも目処がついてと、なかなか満足のいく出撃でした。夏場はやはり蔵王がメインの観測地になりそうです。時間的には帰路で神割崎が約70分、蔵王だと50分位ですが、高速道路を使わないのでお財布にもやさしいのはやはりありがたいです(笑)。

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2014年5月25日 (日)

比較テスト K-5Ⅱs vs EOS KISS X6i

K-5Ⅱsですが、無改造機でも赤い星雲が良く写るとの評判がありますが、実際のところどうなのかと思っていました。

先日、タムロン70-200mmF2.8(A001)を入手しました。これで、手持ちのキヤノンEF200mmF2.8(Ⅰ型)とほぼ同条件で撮影できるようになったので、比較テストをしてみることにしました。

テストを行ったのは5月23日。ちなみに、翌日の24日はきりん座流星群の極大日だったわけですが、当日は宮城県地方は曇ってしまいました。この流星群は極大の期間が短いようで、前日はほとんど群流星は流れていなかったと思います。流星群自体もそれほど大規模な出現ではなかったようです。

撮影地は神割崎ですが、この日は前回と違って、南の光害が結構激しかったです。恐らく、撮影時間が比較的早かった(22時~1時、前回は2時ごろスタート)ことと、透明度自体が低かったことが影響していると思います。そろそろ透明度重視で蔵王とかに行った方がいいのかもしれません。

なお、到着したのが21時ごろでしたが、駐車場入り口に街灯が点灯していて、ちょっと焦りました(点灯していても、光が当たらない場所を選べば撮影は可能だと思います。)が、21時20分位には消灯して一安心。

というわけで、22時ごろ撮影を開始しましたが、この日は結露が物凄かったです。メインで使っていたA001の方は、レンズに付着する露を拭っても1分で白くなってくる有様でした。EFレンズの方は時々撮影して、その間はキャップをつけていたので結露しませんでした。

それでは比較結果です。ビクセンGPD赤道儀に2台のカメラを同架しての撮影です。

ちなみに、両方ともライブビューでピントを合わせたのですが、EFレンズの方がピントの山をつかみやすかったです。単焦点というのも効いているのでしょうか?あと、カメラの操作系に関していえば、タッチパネルで絞りとか操作できるX6iの方が何かと使い勝手がいいと思います。

まずは北アメリカ星雲。撮影時刻は23時14分。ISOは6400、絞り開放、露出60秒です。最初はほぼ画像処理なしの画像です。

K-5Ⅱs
Imgp12561

X6i
Img_28721_2

X6iの方は露出オーバー気味になっている感じです。計算上露出量が一緒のはずなのにここまで写りが違うのは結構驚きでした。結露の有無とか効いているのかもしれません。

次は、Lightroomでレベル補正とか行った画像です。

K-5Ⅱs
Imgp125612

X6i
Img_287212

赤い星雲はk-5Ⅱsの方が写りがいい感じはしますが、個人的にはX6iの画像の方がメリハリ効いていて綺麗だなと思いました。ちなみに、画像処理はX6iの方が楽でした。なお、ノイズについてですが、Lightroomの場合、細部を残しながら上手にノイズを消してくれるので、意外に両者差がない印象です。

次は先日も撮ったM8,20です。時間は0時23分。こちらはf3.5に絞っています。露出時間、ISOは同じです。大体北アメリカ星雲と似た傾向です。同じように最初は画像処理ほぼなしの画像です。

K-5Ⅱs
Imgp12951

X6i
Img_28731_2

全般にK-5Ⅱsの方が緑にかぶっている印象です。光害の影響を受けやすいのかもしれません。

画像処理後の画像です。

K-5Ⅱs
Imgp129512

X6i
Img_287312

こちらも思ったより写りに差が出ないなという印象です。

ここでレンズについても触れておきます。

星像に ついてはズームレンズというハンデを乗り越え、A001が健闘していると思いますが、前回も現れた明るい輝星のハレーションに加え、画像の一部だけで星像が流れたように写ります。ワイド側でも傾向が変わらないので、レンズの問題だと思います。メーカーに調整に出してみようと思っています。こういうときは新品レンズは有難いです。

一方EFレンズの方は、星が全般に青白く写ります。これは昨年M31やすばるを撮影していたときも気になっていました。もっとも、これはこれで綺麗なので、別にいいかな、と思っています。

というわけで、K-5Ⅱsが物凄い解像度と赤い星雲の写った画像を叩き出して、X6iを寄せ付けないだろうという事前の予想はあっさり外れた感じです。これだけ写ればX6iで十分かも(苦笑)。

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とかで高感度でのデータを比較してみると、K-5ⅡsはEOS 6Dにもさほど遜色ない解像度と低ノイズの画像という印象ですが、実地で撮影してみるとまた別の結果が出て面白かったです。

こうしてみると、ステップアップしたいキヤノン党は素直に6Dを買うのがベストかもしれません。あと、初心者にもキヤノンの方がお薦めだなあ。今回のEF200mmF2.8みたいに安くて明るい高性能レンズが中古で沢山あるし、操作性も分かりやすい。その辺ペンタックスは厳しいです。

ただ、K-5Ⅱsはデザインが精悍な感じで格好いいし、発色も独特で買って損した感じはしませんが。今回は結露の影響も大きかったかもしれないので、また別の機会に試してみようと思います。

(追記)
K-5Ⅱsの名誉のために、8枚の画像を加算平均でコンポジットした北アメリカ星雲も載せておきます。
1405231
コンポジットの成果あってか、ノイズも少なく、前よりは自然な画像です。こうやって見るとF2.8で十分使えそうです。

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